夢小説 王墓の完成 [夢小説]
ある大陸に大きな砂漠があった。
毎年乾燥が続き、砂漠は広がっていく一方だった。
周辺の村は砂に埋もれ続け、人々は昔から、やむなく家や田畑を捨て続けてきた。
遠い昔、ここ一帯には豊かな緑が広がり、巨大な帝国があったが、
王が不慮の死を遂げ、その墓の建設中に後継者争いが起きた。
その混乱で、王の墓は建設途中で放置され、いつしか忘れ去られた。
王の魂は怒り狂い、その呪いでこの地方に雨が降らなくなり、帝国は滅亡したのだと。
この言い伝えや、古い文献などから、
この砂漠のどこかに帝国と王の墓の遺跡が眠っているのではないか、
そう推測した外国の発掘隊が、オフロード用トラックや重機と共に、村に発掘調査のため訪れた。
ところが村人は渋々協力するといった感じだった。王の祟りに合うと村人らは心配したのだ。
だが発掘隊は、あくまで科学的に歴史の検証にやってきたので、そのようなことは信じなかった。
そして文献などから目星を付けた地点に旅立った。
発掘隊は数日かけてたどり着き、その地点で調査を開始する。
調査を元に計画を練り、
まずは遺跡の兆候が現れるまで、重機を使って掘り返していく、
だが、かなりの範囲にわたって発掘したが、痕跡らしきもの一つ現れない。
凄まじい暑さと乾燥で、予想以上に水の消費が激しい。
積んできた水のタンクはあっと言う間に残りが少なくなった。
発掘隊は仕方なく、現場に重機や道具を残して、予定より早く一旦引き返すことにした。
ところが、帰りに激しい砂嵐に合った。
トラックを停車していたら埋もれてしまうのではないか、という激しさ。
運転手は注意深く進路を選んで進んでいたはずだった。
だが、突然、乗員を激しい衝撃が襲った。
砂丘から、かなりの高さから転落したのだ。
3台のトラックが前に続き次々と。
乗員は運良く軽い怪我だけで済んだが、運転手は信じられない、といった顔つきだった。
確かに平坦な道を選んで進んでいたのに。前の車が転落すれば十分反応できたはずなのに。
トラックは3台とも故障、この場で直せるような故障ではない、
さらに、最悪なことに無線機まで故障している。
村までは到底歩いてたどり着ける距離ではない。
そして何より、水は残り少ない。
正に悪夢、誰もが死を意識し、
「王の呪い」などという非科学的な考えが浮かんだが、誰もそれを口にしなかった。
発掘隊は歩いて発掘地点に引き返すことにした。
その距離なら何とか戻れるし、希望が無いわけじゃない。
発掘現場の重機を使って、井戸を掘るのだ。
水さえあれば、かなりの時間、持ちこたえられる。
待っていればいつか仲間が救助に来てくれるはずだ。
地質学者が水の出る確率の高そうな場所に目星をつけ、
ひたすら重機で掘っていく。
暫く掘ると何か堅いものに当たった。岩だろうか。
驚くべきことにそれは人工の石組みと思われるものだった。
周辺を掘り返すとぽっかりと空いた入り口。
これは、もしや帝国の遺跡ではないか!
よりにもよって今、井戸掘りで見つかるとは。何たる皮肉か。
それでも発掘隊は喉の渇きに耐えながら、ランプを手に遺跡に入っていく。
隊員達の本能的な好奇心がそうさせずには置かなかったのである。
遺跡を進んでいくと、いくつもの部屋と飾り立てられた大きな棺、中にはミイラが。
これは言い伝えに残る、建設中の王の墓、そして王のミイラだろうか、
沢山の金銀宝石などの財宝も見つかった。大変な歴史的発見だった。
だが、今の発掘隊が何より欲しているもの、「水」はどこにも無いのだ。
やがて建設の途中と思われる部屋も見つかった。
中にはいくつもの棺が並ぶ。
壁に古代文字の表記がある。
「我らこの身を王に捧ぐ」
棺の中は全部空だった。
村は喜びに沸いていた。
村の老人達も記憶に無いほどの大雨が降ったのだ。
もしかしたら王の怒りが鎮まりつつあるのではないか?
村人達は囁きあった。
だが、気になることも一つあった。
発掘隊がいつまで経っても戻ってこないのだ。
ハミダシ
ソネットが重いのは、この頃書けない僕の呪いです(嘘)
読んでいていくつかの仮定が
頭の中に浮かびました。
それらを裏切らないストーリーで
それでいてじゅんさんらしい
進み方でおもしろかったです^^。
映画「ハムナプトラ」とか、テレビの
「世界不思議発見」が好きな私には
この手の話は興味深いです♪
しかし絵が上手だな~~~
最初、写真に手を加えてあるのかと
思ったくらい。
by jewel (2006-10-16 13:59)
jewel さん>
ありがとうございます!
さすがjewel さん、読まれていましたか(笑)
でも楽しんでいただけたようで良かったです。
世界不思議発見、僕も好きで昔から良く見ますよ^ ^
絵は、トラックのデザインと暑い感じを出すのに苦労しました。
by じゅん (2006-10-16 19:59)
うーん。
結末には、色々と想像を膨らませてしまいますね。
ぐいぐいと引き込むようなストーリーの流れがよかったです。
今日の絵のタッチが好きです。
by (2006-10-16 23:03)
シュールなお伽話の世界にいるようです。
私もこのくらい想像力を膨らませたい……
by (2006-10-17 18:30)
誠大さん>
ありがとうございます!
結末に嫌な予感を感じていただけたでしょうか?(笑)
でも、もちろん、ご自由に想像して頂きたくて書きました。
今回は前回よりさらに線画から離れました。
琥珀さん>
ありがとうございます!
琥珀さんはきっと、大きな想像力をお持ちですよ。
by じゅん (2006-10-17 20:54)
皮肉なもんですね。
でも、実生活でもこういうことってあるような気がします。
もちろん、些細なことですけど・・・。
そうか、あれは何かの呪いだったか。(笑)
最後、きっちりと終わる感じじゃなくて、余韻が残る感じが、私は好きです。
ホント、最近ソネブロ重いですね。
そうか、それはじゅんさんの呪いだったのか。(笑)
by ミズリン (2006-10-17 21:05)
それでだったのか…(笑)
これを解くにはどうすればいいでしょう?
噴火口に何か投げ入れますか?
それとも、何か献上しますか? ww
by be-happyyy (2006-10-18 17:24)
ミズリンさん>
発掘に関しては、本当にこういう話を良く聞きますね。
あきらめた頃に見つかるという。
この件みたいに残酷な話じゃないですけど。
一時流行った「マーフィーの法則」ってそうでしたっけ?
トーストにいつも塗らないバターを塗った時に限って、
カーペットに落としてしまう。
作家さんの大変さが少しだけ分かる今日この頃ですw
BE-HAPPYさん>
nice! を1,000,000くらい献上してください。
怒りが収まるかもしれませんw
by じゅん (2006-10-18 18:56)
発掘者がいけにえに!!
今も世界中に「呪い」と言われる
モノがたくさんありますが、ほんとなんでしょうかね?
by TOMO (2006-10-19 17:43)
TOMOさん>
科学的に考えれば無いのでしょうが、
自分の中にあって把握できない部分が、そう言い切るのを止めようとします
by じゅん (2006-10-19 22:34)
トラックの絵がお上手ですね!
のどが乾いたまま 発掘現場に閉じ込められた人たち かわいそう。
by (2006-10-22 13:35)
すずめさん>
すずめさんにそう言って頂き、嬉しいです!
彼ら、かわいそうですね、僕は砂漠の発掘なんて怖いです。
by じゅん (2006-10-23 19:54)
ハムナプトラ やインディージョーンズなど大好きなので、こういうお話 とても興味が・・・^^
子供のころ 遺跡の発掘などってすごい憧れでした^^
by あやこ (2006-10-30 20:45)
あやこさん>
そうですね、古くはインディージョーンズなんて、僕の青春でした^ ^
僕もピラミッドの内部の構造とか、凄く興味がありました。
by じゅん (2006-10-31 21:08)
絵、バージョンアップしてません?
by (2006-11-04 12:41)
no_chaser さん>
技術としては、随分慣れてきました^ ^
でも芸術性となると全然ですよ~。
by じゅん (2006-11-04 23:57)